大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のオープニングは、石像(人形)を使って作成されています。
従来の大河ドラマでは取られなかった手法ですので、話題となっています。
このオープニングの意味はどんなものなのでしょう?
「鎌倉殿の13人」のオープニングの人形は誰がモデル?
モデルと思われる人物と登場シーンを簡単にまとめました。
なお、公式の発表はありませんので、あくまで推測です。
北条義時
- 「最初に出てきた武士」
- 「鳥居の前に佇む武士」
- 「最後に貴族風の男と対峙する武士」
最初と最後に出てくる武士、終盤の鳥居の向こうを見つめる武士は本作の主人公「北条義時」だと思われます。
「鎌倉殿の13人」
タイトル後に現れる13人は、やはり「十三人の合議制」の13人(鎌倉殿の13人)で間違いないでしょう。
- 北条義時
- 北条時政
- 大江広元
- 中原親能
- 二階堂行政
- 三善康信
- 梶原景時
- 足立遠元
- 安達盛長
- 八田知家
- 比企能員
- 三浦義澄
- 和田義盛
源頼朝?
- 「涙を流す女性のあとに一瞬だけ映る崩れかけの人物」
- 「妻と子供らしき人を抱える男」
13人が出た後、一瞬女性の泣き顔が映り、その後顔が崩れかけた男が映ります。
その直後に、有名な北条政子の演説シーンがありますので、この男が源頼朝で、崩れかけているのは亡くなったことを示し、それを受けて政子が泣いているのではないでしょうか?
また、後半に戦闘シーンから父、母、赤子の三人が映る穏やかなシーンに切り替わる場面があります。
このときの父親らしき男は源頼朝もしくは、主人公の北条義時のどちらかだと思われます。
北条政子
- 「寺の前で演説する尼」
- 「子供を抱く女」
尼さんが手を広げているシーンは、北条政子の演説で間違いないでしょう。
佐野 源左衛門?
- 「甲冑を付け、馬に乗る武者」
バックに「いざ」の文字があらわれるため、「いざ鎌倉」の言葉の元になった佐野源左衛門をモチーフにしているものと思われます。
ただ、彼はドラマの時代よりはもう少し後、鎌倉時代の中期に生きた人物です。
佐野源左衛門の石像というよりは、「鎌倉武士を表す石像」と見た方がいいかもしれません。
※追記 後に製作者の発表で、この石像は「源頼朝」であることが明らかになりました。 テーマ曲が最高に盛り上がるタイミングで頼朝の背景に「いざ」の文字を浮かび上がらせ、頼朝の栄光を象徴させているそうです。 ただし、よく見るとその栄光の頂点で、頼朝の足元はすでに崩れ始めています。
源義経
- 「海戦の最中、舟を飛び移る甲冑姿の武者」
壇ノ浦の戦いらしきシーンで、よく見ると奥の方に甲冑を付けたまま舟を飛び移ろうとする武者がいます。
これは伝説の「源義経の八艘飛び」を表しているようです。
平宗盛?
- 「四人で蹴鞠をする貴族風の男」
「源平合戦で源氏と対峙する平家」もしくは「承久の乱で鎌倉と対峙する京の貴族」のどちらかに見えます。
ドラマ本編で出てきた平清盛の息子、平宗盛の服装が石像人形に酷似しているため、一応平宗盛ではないかと推察します。
平清盛or後鳥羽上皇?
- 「最後に武者と対峙する貴族風の男」
オープニングのラストに出てくる貴族側のラスボスっぽい立ち位置の人物です。
対峙している武者が本作の主人公北条義時であると仮定すると、後鳥羽上皇である可能性が高そうです。
「鎌倉殿の13人」のオープニングの意味・ストーリー
公式の発表があるわけではないので推測ですが、鎌倉殿の13人のオープニングの意味を考えてみたいと思います。
並ぶ甲冑~刀を抜き堂々と佇む武者
最初は複数の甲冑が並ぶシーンから始まります。
これは武家政権の象徴のシーンであり鎧は「源氏八領」だと思われます。
源氏八領とは、「清和源氏に代々伝えられたという8種の鎧」のことです。
(※ちなみに源頼朝の家系は「河内源氏」です。)
武士の象徴である鎧兜に太陽の光が当たることで、新たな時代の始まりを予感させています。
その後出てくる「抜刀して堂々と立つ武者」は本作主人公の北条義時でしょう。
太陽を背に凛々しく立つ男の姿を映したあとに、ドラマのタイトルが現れます。
13人
「鎌倉殿の13人」というタイトルが一瞬で出てすぐ消えます。
その後13人の男の姿が映ります。
両側に堂々と立つ「13人」に次々とスポットライトがあたります。
13人がぼやけると、一瞬、「女性の泣く顔」と「顔の崩れた石像」が映し出されます。
ここはいろんな捉え方ができると思います。
- 「泣いているのは北条政子で、崩れた石像は、頼朝の命が尽きようしていることを表している」
- 「木曽義仲と巴御前の別れ」
- 「源義経と静御前の悲劇」
など、複数の悲劇を暗示しています。
北条政子の演説
階段の上、建物の前で尼らしき人物が手を広げています。
これはかの有名な「北条政子の演説」のシーンだと考えられます。
煙の中で太陽の光に照らされた北条政子が印象的です。
いざ鎌倉
鎌倉武士の象徴「いざ鎌倉」の「いざ」という言葉をバックに馬に乗った武者が映し出されます。
音楽が最高潮に盛り上がるなかで浮かび上がる「いざ」のシーンはとてもカッコいいです。
北条政子の演説を受けて敵との戦に向かうようなイメージともとれます。
源平合戦?
「いざ鎌倉」のカッコイイシーンの後からは、戦のシーンが続きます。
北条政子の演説の後ならばこの戦は「承久の乱」です。
ですが、この次には、壇ノ浦の戦いが映し出されますので、源平合戦とも捉えられる戦のシーンです。
※追記 製作者の発表で、このシーンは「源平合戦」であることが明らかになりました。 特定の戦のシーンではなく、源平合戦の象徴としてのシーンとのことです。
壇ノ浦の戦い
大規模な海戦シーンです。
これはおそらく壇ノ浦の戦いで間違いないでしょう。
よく見ると奥の方で義経が八艘飛びをしています。
また、細かいところでは、平家の敗北を暗示する「イルカの群れ」、「嘆く女官」など有名な伝承が再現されています。
鶴岡八幡宮?
鳥居を前に、武者が境内の方向をじっと見つめています。
服装からすると最初に出てきた人物と同じに見えますので、北条義時のようですが、この神社はどこなのでしょう?
鶴岡八幡宮だとすると、そうなると鳥居の前の人物は北条義時よりも、「鶴岡八幡宮で親の仇を討とうと決意を固める公卿」であると考えたほうがしっくり来ます。
親子
父親、母親、子供が平和そうに仲睦まじくしているシーンに移ります。
「源頼朝、北条政子、源頼家」なのか「北条義時、姫の前、北条泰時」なのか、どちらかは微妙なところです。
貴族の蹴鞠
戦いに明け暮れる武家との対比として、貴族が遊んでいる様子を映しています。
ここも蹴鞠をしているのが、平家なのか、後鳥羽上皇周辺の貴族なのかは不明です。
また、別の見方をすると、宙に浮いた鞠が「権力」を象徴し、「周りに源頼家・源実朝・公家(天皇)などがいて、それを手にしようと狙っている」、と捉えることもできそうです。
頼朝の死後、宙に浮いた鞠(権力)は誰の元に行くのでしょうか?
余談ですが、あの浮かんでいる鞠はどうやって撮影したのでしょう?
武家と貴族の対峙
最後のシーンでは、「刀に手をかける甲冑姿の武者」と「それを前にして怯むことなく佇む貴族」が映し出されます。
「源頼朝と平清盛の対峙」を表しているのか、「北条義時と後鳥羽上皇の対峙」を表しているのかはわかりません。
ただ、視点が二人に近づくにつれ、周りの石像が崩れ落ちていく演出が見られます。
「周りの石像」が「最初に出てきた13人」だとすると、「十三人の合議制」で勝ち残った北条義時を表しているのかもしれません。
そのうえで「ラスボス・後鳥羽上皇」と戦っているようにも見えます。
追記:製作者の意図「特定の人物・ストーリーではない」
映像制作の高野義政氏によると、
石像の顔は特定の誰かの顔ではなく、各回のストーリーによって違う人物に見えるように能面のような表現にした
とのことです。
見る人によってそれぞれ想像を膨らませられる余白を作ったとしています。
特定の人物を表した石像ではないということなので、オープニング映像が明確なストーリーになっているわけではないことも明らかになりました。
この記事に書いたオープニングの見方は一つの参考として、ご自身で想像を膨らませてストーリーを考察したり、シーンを解釈したりして楽しみながらオープニングを御覧ください。
なお、放送を重ねる中で「オープニング中、出演者に善児の名前が出るかどうかを気にする」というのも、もはやファンの間では定番になってきています。
善児の名前だけでなく、たまには石像にも注目して見て下さい。